今後やりたいことは、時代劇再生運動を通じて京都に一大映画村を作り、国の予算で年間10本、時代劇の映画をつくることです。
時代劇というと、どうしてもちょんまげのイメージがあるんですが、そうではなく、明治・大正・昭和の戦争を挟んで中期くらいまでは時代劇ではないでしょうか。
その映画村に各時代ごとの風景を再現した村を作り、そこに国立の映画学校を設立して、映画を通して普通の学校では教えてくれない伝統的な日本人の心の教育を盛り込みます。
映画の撮影地に学校があるので、そこの生徒はカツラでもかぶれば、そのままエキストラとして出演できます。
各時代にタイムスリップしたようなその村を観光地にもします。
それも小さな規模ではなく大きく。
時代劇だけではありません。
さまざまな日本の伝統芸能も継承が危ぶまれています。
京都ではそれが大問題になっていますよね。
この人が死んでしまったら、この伝統は途切れてしまうというようなものも、その学校の中に入れてしまいましょう。
それに興味がある人は、学校に入る。
映画は総合芸術とも言われていますので、いろんなところに使えばいいんですよ。
私は昔から乗馬も大好きです。
大河ドラマでも馬を使うことがありますが、使えてもせいぜい30〜50頭集まればいい方で、30頭では関ヶ原の戦いはできません。
今はCGで誤魔化せますが、『天と地と』では、これ以上の規模は日本では撮れないということになり、カナダに行って川中島の戦いを撮ることになりました。
その時は、カナダの馬を1000頭集めましたが、馬を1000頭集めれば、乗り手も1000人必要です。
日本では、こんな規模の撮影はあり得ません。
日本で馬が最高に集まったのは、黒澤明さんの『蜘蛛巣城』で何百頭でしたから、この数がいかなすごいかが分ります。
馬が1000頭一斉に走り出すと、地鳴りがするんです。
地面が揺れ、音もすごい。
「ああ、昔の戦いというのは、きっと地鳴りがしていたんだなあ」
って、すごく貴重な体験をさせていただきました。
日本では今はできませんが、さっき言ったような学校の中に乗馬クラブを作って、そこで数百頭を飼育する。
競馬上がりの馬がたくさんいますから、その馬で戦の撮影をする。
そう考えていくと、いろんな構想が浮かんできますが、お隣の韓国のように、国が本気になって予算がないとできません。
しかし、長い目で見て、日本の素晴らしい文化を残すことが必要ではないかな、と思います。