仕事でミスをしたとか、人間関係がうまくいかない…。
こうした愚痴や悩みを有料で聞いてもらえる
「話し相手サービス」
が人気を呼んでいるそうです。
現代は、人間関係が希薄になり、
「無縁社会」
という言葉も聞かれるようになりました。
そのため、悩み事があっても、自分の周囲に親身になって話しを聞いてくれる相手が見つからなかったり、その一方周囲の人に秘密が漏れることを恐れて言葉を呑み込み、その結果ストレスを溜め込んでしまう人も少なくないようです。
こうした中、電話やスカイプを通して、仕事の愚痴や人間関係の悩みなどを聞いてくれる有料の
「話し相手サービス」
が盛況なのだそうです。
基本的な内容は、サービスを提供している会社に連絡すると、自宅で待機しているスタッフと話ができるというもので、事前予約が必要な場合が多いのですが、料金は前払い制で、相場は10分500円〜1000円程度。
スタッフが依頼者からの話を聞く際は、決して相手を批判したり否定したりするようなことなく、話し相手の価値観に立って話を聴く
「傾聴」
というテクニックを使っています。
したがって、基本的にスタッフは
「はい」とか
「そうですか」
といった相槌を打ちながら聞き役に徹するため、電話相談のように、話を聞いてもらっても解決策が得られるというわけではありません。
しかし、同僚や友人に話すと、時として正論で返されて、むしろ傷ついてしまう場合があったりします。
そのため、お金を払ってでも悩みを打ち明ける相手がほしいという人は少なくないようです。
サービスを提供している会社によると、依頼者からの話の内容でもっとも多いのが
「人間関係の悩み」
だそうです。
その他、自慢話やその日にあった出来事、病気や介護の悩みなど、語られる内容は幅広く、また突然寂しさに襲われ、昼夜問わず電話してくる人もいるため、スタッフが交代で24時間対応しているのだそうです。
一方、ふるさとを離れて一人暮らしをしていたり、日中一人で留守番をしている高齢の両親のために、話し相手サービスを利用する依頼者も増えているそうです。
そのため、定期的に高齢者に電話を入れる安否確認付きの相手サービスを提供している会社もあったりします。
この場合、高齢者の孤独感を解消するとともに、
「食事を済ませましたか」
「薬を飲まれましたか」
「体調を崩しておられませんか」
など、依頼者が気になる情報を会話の中に盛り込むことも可能だそうです。
電話の回数は月1回(980円)から毎日(7000円〜)と自由に選択できるそうです。
なかには、依頼者の自宅などへの出張サービスを行う会社もあり、話し相手サービスは花盛りとのこと。
話し相手を有料で探すというのは少し寂しい気もしますが、心の病を防止するためにも日頃のストレスは早めに吐き出すようにしたいものです。
新聞報道によれば、学校の先生も心の病を理由に休職する人が5000人を超えているとか…。
心の病は、外からは見えない上に、
「いつ治る」
という見込みが立たないだけに、一層深刻化していくようです。
「人間は事実だけではつぶれない」
と言われます。
どれほど辛くても、苦しくても、その思いを聞いてくれる誰かがいれば、また立ちあがって行くことが出来るものです。
けれども、誰も自分の話を聞いてくれる人がいない、誰にも自分を分かってもらえないと思った時に、心を閉ざし生きる勇気さえもなくしてしまうのが
「人間」です。
このような意味で、たとえ有料ではあっても、
「話し相手サービス」
の果たしている役割は、きわめて大きいと思います。