「鹿児島と鹿児島人」(中旬)バランスがいい

いろんな見方がありますが、宮崎は今でこそ十万都市がたくさんあり、非常にバランスの取れたいい県ですけれども、明治・幕末のころは、どちらかというと、土地は肥よくだけどもほとんど住む人がいなかったんですね。

ですから、いろんなところから人が入ってきている。

宮崎出身の人は、二代、三代さかのぼると、四国から一番多く来ているんですよ。

日向かぼちゃと言いますけど、本当は讃岐かぼちゃなんですね。

宮崎の方は異論があるかもしれませんが、ほとんどがよそから持ってきてますので、そういう意味では北海道とよく似てますね。

宮崎の児湯群に川南町というところがありますが、ここには宮崎県以外の全ての都道府県の出身者がいるそうです。

このように、いろんなところから人が入ってきてますから、お互いに自己主張を控える。

その代わりみんな平等ですから、自分の言いたいことを平等に言い合うという、非常にバランスのいい町ができるわけです。

また、私が宮崎をみてうらやましく思うのは、鹿児島の場合ですと、平成の合併が行われる前までは、鹿児島市だけが人口五十数万ですが、二番目は八万余りで、十万以上は一つしかありません。

宮崎は宮崎市が三十万、あとは十万都市が延岡とか都城とか日南というように、非常にバランスがとれている。

このようにバランスのとれた県土というのは、宮崎のプラスの意味での個性のなさということが言えると思います。

「薩摩の芋づる」に戻りますが、これはもちろんプラスの意味であります。

指揮官が号令をかけると一致団結して事にあたる。

これは鹿児島人の最も優れたところであると、会社経営をしていてつくづく思います。

もちろん文句も出ますけど、いったん何かやるとなったら、とことんチームワークを発揮してやる。

しかしこれがマイナスになったときが困るわけですよ。

これはよそ者を入れないということ、つまり自分たちだけで物事を進めるんですね。

その点では宮崎と対照的です。