ご講師:安部智海さん(浄土真宗本願寺派総合研究所助手)
今日は「本願寺と新撰組」という演題でお話をいたします。
そして副題に「チームの力を考える」と加えさせていただきました。
幕末の動乱期に本願寺とも関係のあったという「新撰組」についてお話してほしいとリクエストがあったこと、そして私が現在、支援活動を行っている東北の被災地での活動について、常々考えることもあり、つなげてお話させていただきたいと思った訳です。
私は先週まで東北で支援活動を行っていました。
支援をする中で、チームというのがとても大事だと感じています。
組織というものを考えるとき、最小単位というのがおそらく「チーム」と呼ばれるものであろうと思います。
何か目的を達成するために、人が集まって、チームを組むわけですが、ここで目的というのが重要なポイントになります。
2011年3月11日に、東日本大震災が発生しました。
鹿児島からもたくさんの方々がいらしてくださって、私も現地でみなさんと会い、その非常に熱心な活動をとても頼もしく感じました。
被災地でのボランティアの活動はというと、まず「流入物の撤去作業」というのがあります。
津波で流されてきた瓦礫(がれき)などを撤去する作業というのがまず最初に立ち上がりました。
そして「写真洗浄業」これは津波によって流されたアルバムなどの写真を一枚一枚手作業洗浄していく。
目的は、当然持ち主に返してあげることです。
さらに「側溝(そくこう)捜索作業」というのがあります。
私が今、携わっている仙台市の南にある名取市の閖上(ゆりあげ)という地区は、特に被害の大きかったところで、現在も41名の方が行方不明のままとなっています。
その方々の遺品やお骨などを探す作業というのが「側溝捜索作業」です。
また「お茶会」というものもあります。
仮設住宅の中にそれぞれ20〜30人ほど入れる集会所があって、そこで「お茶会」を開き、地域や仮設住宅に入っている方々の交流の場を設けます。
目的は、仮設住宅住まいの方々の孤立を防ぎ、コミュニケーションをとってもらうこと。
そして、私が携わっているのが「居室訪問活動」です。
これは、お茶会にも出てこれなくて孤立している人のお宅に直接行って、お声かけをして、いわゆる「傾聴」、お話を聞いて、少しでも孤独感を和らげてもらうのが目的です。
これらの活動は、それぞれチームを組んで活動しています。
それぞれのチームが、目的目標を持って活動している訳ですが、こうしたチームというのは、棲み分けをきちんとしていなければ揉め事がおこります。
一番大切なのは、何のためにそのチームがあるのか。
その目的のために、どういう方法で、どのように活動するのか。
そして、何を対象に、誰を対象に活動するのか、この3つがとても大事ということになります。
ボランティア活動をするにしてもそうですし、何か組織を立ち上げるときにも、この3つはとても重要なポイントになります。
チームを考えるときには「目的」「対象」「方法」を明確にしていただきたいと思います。
このことを押さえた上で、新撰組の話に入りたいと思います。