世界中に宇宙飛行士は530人ほどいますが、その中で日本人は11人です。
毛利さん、向井さん、土井さんの3人はJAXA(ジャクサ)の宇宙飛行士としては既に引退されていて、それぞれ学術分野で幅広く活躍されています。
現在は若田さん、野口さん、古川さん、星出さん、山崎さん、まだ新人と言われる油井さん、大西さん、今年12月頃に宇宙ステーションに行く予定の金井さんの8人がいます。
皆さん元々自分のお仕事をお持ちだったのですが、子どもの頃からの宇宙飛行士になりたいという夢を思い出して、宇宙飛行士の募集があるときに応募された方々です。
パイロットや医師などそれぞれに専門の仕事を持った方々が集まり協力して宇宙での仕事をするようになっています。
さて皆さん、どこからが宇宙だと思いますか。
地上から100キロ、空気が無くなるところからが宇宙と定義されています。
人工衛星は地上から1000キロくらいのところを飛んでおり、国際宇宙ステーションは約400キロのところにあります。
国際宇宙ステーションは世界の15ケ国が参加する国際プロジェクトで、サッカー場くらいの大きさで秒速約8キロで動いています。
飛行機は地上から10キロあたりを時速760キロメートル、秒速200メートルで飛んでいるので、宇宙ステーションは飛行機の40倍も速く進むことになります。
90分で地球を1周し、1日に16周するので、45分毎に昼と夜がやってきます。
その中に日本が開発したモジュール『きぼう・日本実験棟』があり、大きさは110メートル×72メートル。
だいたい小学校の校庭の2倍くらいです。
この宇宙ステーションは地上から見ることができ、スマートフォンで確認すると、出てくる方角の情報も出ています。
それに合わせて待っていれば見えます。
鹿児島市内から桜島を背景に宇宙ステーションの軌跡を写真に撮られた方もいらっしゃいます。
『宇宙』といえば皆さん「無重力」を思い浮かべられると思います。
若田さんがフライトしたときに小中学校から宇宙で実験してほしい希望を集めて、その中から魔法のじゅうたん、縄跳び、バク転などが試されました。
魔法のじゅうたんの実験では、じゅうたんも人もそれぞれに浮いているためにマジックテープを使って足の裏とじゅうたんを接着して飛行したそうです。
このマジックテープは現在私たちもよく使っているものですが、元々は宇宙空間で物を接着するためにNASAが開発したものなのです。
無重力空間では自分の体が落ちていかないので縄跳びも簡単です。
何回でも何百回でも楽に跳ぶことができますし、バク転や懸垂も楽々とできます。
重力のない宇宙ステーションの中では地球では大きな力を必要とすることも容易にできるので、楽でいいなと思われるかもしれませんが、そんな状態では骨や筋肉がだんだん弱くなってしまいます。
骨粗しょう症などの老化現象がとても早く進行するので、宇宙飛行士は毎日2時間の運動を日課にしています。
運動以外にも防止薬が開発されていて、宇宙飛行士たちが試薬を飲みながら自分の体を使って研究しています。
それがゆくゆくは私たちの生活に役立つものになるという医学分野の研究も進められています。
また、無重力空間では水と油を混ぜても分離しません。
物が混ざり合う特性を用いて良質の半導体の材料となるような結晶を作る実験も実施されています。
植物は重力があるから根っこが下に向かうものなので、重力のない所で植物が育つがどうかという研究も宇宙ステーションで行っています。
研究の成果は、砂漠地帯に植物を育てることにも生かされていくようです。
このように私たちの暮らしに還元できることについて宇宙空間で各種の実験や研究が行われています。
宇宙ステーションでの生活では無重力状態のために散髪やトイレ、就寝や食事などに特別な方法が必要となります。
特に食事は宇宙飛行士の健康の維持やストレスの緩和、気分をリフレッシュし仕事への意欲や効率を向上させるなどの役割もありますので、様々な工夫がされています。
日本人宇宙飛行士に慣れ親しんだ食事を楽しんでもらおうとJAXAでは食品を製造する企業を対象にした宇宙日本食の募集、認証を積極的に進めています。
宇宙食は賞味期限1年半以上という基準があるので、防災食としての使い道もあるということで熱心に研究されています。