2019年1月法話『恵まれたいのちの不思議を生きていく』(前期)

新たな年を迎えるにあたり、改めてこれまでの自分の歩みをかえりみて、より良き方向へと一歩いっぽ進んでいければと思うことです。

先月22日に私のお預かりしているお寺で結婚式がありました。

当日は冬至にあたる日でしたが、気温が20度をこえる穏やかな天候に恵まれ、多くの関係者臨席のもと式が執り行われました。

本堂での結婚式は実に30年ぶりのご縁でした。

お二人と結婚式の打ち合わせのお話をしているとき、私が「実はこのお寺で結婚式をするのは30年ぶりなのですよ。」とお伝えました。

その30年前に結婚式を挙げたお二人の名前をあげて、そのお二人の娘さんの名前を伝えると急に新婦さんの声色が変わり、驚いたように「その娘さんは私の同級生です。」と教えてくださいました。

30年前に結婚式を挙げたお二人の娘さんの同級生が、このたび同じ本堂で結婚式をあげてくださるというご縁の不思議さを感じたことです。

お寺というと、一般には葬儀や年忌の法要だけを行う場というイメージがあるかと思います。

しかし、若いお二人がお寺で仏前結婚式を挙げてくださったことは、お寺でも結婚式ができるんだというアピールにもなったことかと思います。

昨今、結婚式というと、チャペルや神社でという形が多い中で、お寺で結婚式を挙げるというご縁を結んでくださったことを有り難く思うことです。

新婦さんは、小さいときからお寺にご縁があって「結婚するときはお寺で」と決めていたそうです。

新郎さんも新婦さんのその思いをくんで、快くお寺で結婚式をあげることを承諾されたようでした。

よくよく伺うと新郎新婦の祖父母やご両親もともにお寺の法要等行事にもよく参加してくださる方であり、祖父母やご両親がお寺にお参りされる姿、お仏壇でお参りされる後ろ姿を見ながら育ったからこそお寺でという思いがおこったのではないかなあと感じたことです。

30年前に司婚したのは私の父ですが、今度は、その時、結婚式を挙げたお二人の娘さんの同級生の方の司婚を私がさせていただくご縁を頂いたのです。

お二人のこれからの人生の旅立ちに立ち会えたことを有り難く思います。

そして願わくは、今度はお二人が子どもさんを授かり、その子どもさんが誕生され、大きくなり良き人とめぐりあえた時、またこの本堂で、今度は私の子どもが司婚をして結婚式を挙げてもらえれば、なお嬉しいことだなあと思ったことです。

今度は是非、30年経たないうちに…。