どうして「お仏壇」が必要なのでしょうか

一昔前の多くの家屋には「仏間」と呼ばれる空間がありました。

お仏壇を家族の、家庭の中心とし、身近な生活空間の中に仏さまを大切に敬い、礼拝する環境がありました。

現代は当然当時とは全く違う時代環境ですので、激しい人口の流動等に伴う社会環境の変化や、ネット社会の真っ只中で人々の関心や思考、求めるものも多種多様な社会へと常にめまぐるしく移り変わっています。

そのような中で「信仰」の形、お仏壇への考え方というのもまた大きく様変わりしました。

特に近頃では、お仏壇は祖父母宅にあるものという意識であったり、また、まだ誰も家族の中に亡くなった人がいないなどの理由で、お仏壇は誰かが亡くなってから求めるものというイメージを持たれている方も少なくありません。

お仏壇はどうしても死者であったり先祖の霊を祀る場所というイメージが先行しがちですが、そもそもお仏壇は「仏さまを安置する壇」ですので御本尊である仏さま、浄土真宗でいえば阿弥陀如来様をご安置するところです。

ですので、祖父母宅であるとか、兄弟の誰かが受け継ぐというものでもなく、家族の拠り所となり、一人ひとりが自らの人生を、生き方を仏さまの教えに尋ねていく、そのような空間、居場所となるのがお仏壇ではないかと思うのです。

手を合わせて合掌し、仏さまを拝む姿は何にも変え難い尊い姿です。

またお子さんのおられるご家庭であれば、幼い時から手を合わす環境の中で育つことは、ありがとう、ごめんなさい、相手を大切にできる正に豊かな心を育む何よりの環境と言えるでしょう。

様々な家庭環境に応じたお仏壇の形も今たくさんあります。

本願寺でも、持ち運びしやすく自分の生活スタイルに合わせたお仏壇も紹介しておりますので、自らの生き方を振り返るよき機会として、暮らしの中にお仏壇を、生活の中に合掌の姿を大切になさってみてはいかがでしょうか。