私の住んでいる喜入町では、医療と介護の関係者がみんなで手を組んで「きいれ包括ケアネットワーク」というグループを作りました。
喜入の地域包括支援センターが中心となり、ここにある5つの医療機関と医療機関をもたない介護施設、歯科、薬局、保健センターなどが組んでグループを作り、3~4か月に1回集まって勉強会をしています。
ただ勉強すればいいわけではありません。
大事なのはみんなが顔を合わせることです。
在宅医療の問題だけではなく、地域の方々の情報をみんなで共有してあらゆることに対処できるためにはお互いに顔が見える関係でないといけないのです。
そして、一人の患者さんをとりまく「地域まるごとケア」というものを目指しています。
例えば家で暮らしたい方がいます。
私のような在宅医一人では何もできませんが、ケアマネージャーが入ってくると介護保険を使ってベッドを整えたり、もしくは訪問看護・訪問介護をすることができます。
家で歩くのが難しい場合には理学療法士のスタッフが訪問してリハビリをしたり、薬剤師も同じチームに入って、薬の飲み方や効用等について説明します。
一人の患者さんを医療・介護のグループがぐるっと取り囲んで看ていくのです。
地域の状況をしっかりと把握しておられる民生委員さんや集落長の協力もあり、近所の友人たちも辛い気持ちや医者に言えないことを聞いてくれます。
さらにここには喜入ならではの「ともしびグループ」というものがあります。
集落で調子の悪い人がいたら集落長や民生委員さんの働きかけで元気な人を一対一で割り当て、たとえば家の様子でカーテンが開いているか、新聞紙がたまっていないか、声をかけてみようなど、ちょっとしたはたらきかけをするグループが組まれているのです。
私も2年前に知ってリストを見せてもらったときに驚きました。
私の診ている患者さんの名前が連なっていて、そこに元気な50歳、60歳の方々が割り当てられていて見守ってくれているのです。
こんないい町だったのかと、すごく感動した記憶があります。