「認知症が教えてくれること」(後期) 認知症の患者と家族を支える社会の仕組み

皆さんの周りにはいろんな社会の仕組みがあって、そのひとつに鹿児島長寿安心支援センターというのがあります。ここでは認知症のケアやご自身の不安など相談していただければ上手に次につないでくれます。認知症の人と家族の会というのもあります。この認知症の人と家族の会は、実際にご家族の方が認知症になって今まさに介護している方、あるいは伴侶やお父さん、お母さんが亡くなられて、そのときの介護の経験を他の方に伝えたいという方々の集まりですので実践的なアドバイスをいただけると思います。そして認知症疾患医療センターもあります。でも、まずはかかりつけの医師に診ていただくのが一番です。今、医師会でも多くの医師に講演会などで勉強していただいています。その先生方が困ったときには、専門の施設を紹介してくださると思いますので、心配なときには、まずかかりつけの先生に相談していただければと思います。

縁を大事に、人づきあいを大切に

認知症という病気が大事なことを教えてくれているのは、やはり縁を大事にしなさいということだと思います。今、身近にいらっしゃる方をぜひ大事にしていただきたいと思います。

社会学者が割り出した数字があり、ほんとうに深くつきあえる人数は35人が限界ということです。広く浅いつきあいの場合は1500人だそうです。そして、世界でいろんなことを実現してほんとうに充実した人生を送ったと思われる有名人に親しい友だちが何人いたか調べたら、やはり10人とか20人しかいないそうです。自己実現した方というのは友だちが少ないそうで、その代わりに一人一人との関係が大変深いそうです。ですから深い人間関係を育んでいただいて大事にするということがある意味、認知症に備えることになるのではないかと思います。

皆さんは今、何を大事にされていますか。大事なものが何かということを意識していただいて、そのことをより大事にしていただきたいと思います。認知症のケア、最後は人づきあいです。人の縁の話になります。今の時代、人との縁が少し希薄になりつつあるのではないかと個人的には感じています。ぜひご縁を大事にしていただきたいと思います。