お仏壇には死んだ人が祀られているのですか。

少子高齢化や核家族化等により、最近は、おじいちゃんやおばちゃんとこどもさんそしてお孫さんと三世代がいっしょに同居して生活していくケースが少なくなってきました。それに伴い、若い世代のご家庭では、昔はどの家にもあったお仏壇が、ご安置されていない状況が増えてきています。

そこには、「仏壇は実家にあるから」「長男ではないから」そして「お仏壇は死んだ人を祀るところ」という思いがあるのではないかと思います。

しかしながら、お仏壇は「死んだ人をお祀りするところ」ではなく、「阿弥陀さまをご安置するところ」だから仏壇というのです。たしかに、お仏壇で亡くなられた方を偲ぶことはあります。それは、阿弥陀さまのお浄土へ往生されたことを偲ぶという意味があるからです。しかし、だからといって亡くなった人のためにご安置しているわけではないのです。

私たちは生きていくなかにおいて、様々な辛い経験や苦しいことも避けて通ることはできませんし、この身で全てを受けていかねばなりません。その悲喜交々の人生の中においてしっかりと私を見守り続け、支え続け安らぎをあたえてくださるのが阿弥陀さまです。私の心のより所となり、また家族の支えとなってくださる阿弥陀さまをご安置するのがお仏壇です。

亡くなった人のために、ご安置するのでなく、今、生きている私たちの心のより所としてご安置するのです。ですから、「実家にあるから」「まだ誰も亡くなっていないから」ではなく、それぞれのご家庭にお仏壇をご安置して、家族みんなで朝夕お参りをして阿弥陀さまに見守られながらの日々の日暮らしを送らせていただきたいものです。