正座の文化が日本に広まったのは、仏教が広まった後のようですから仏教には正座をしなければならないというルールはありません。しかし、それは仏さまの前に座る時にだらしない姿勢でよいということでもありません。
私は学生時代にサッカーをしていました。高校の時の監督は、その指導力で何度もチームを全国大会に導き、多くのJリーガーを育てました。私はその監督に尊敬と、ある意味恐れがありましたので、監督の前に立つ時は言われなくても直立不動になってしまい、絶対に姿勢を崩すということはできませんでした。尊敬する人の前では姿勢を崩そうにも崩せないものだなと思います。仏さまの前に座ることもこれと似ているなと思います。
浄土真宗で大切にする仏さまを阿弥陀仏といいます。その意味は、はかりしれない命とはかりしれない光ですべての命を包み込んでくださる仏さまです。そのはかりしれない仏さまの前に座るのですから、自ずと背筋はのびるのではないでしょうか。
そうなると次にきちんとした座り方とはなにかということになりますが、それはケースバイケースだと思います。座る場所が畳なのか板の間なのか、膝が痛いのか痛くないのかなどの健康状態でも座り方はかわるでしょう。またアマゾン奥地原住民は村の年長者の前に座る時は違った座り方をするのかもしれませんから、文化によってもかわるでしょう。
私は日本文化が好きですし、足も健康なため、仏さまの前に座る時は正座をします。日本の伝統文化としては畳の時は正座が一番丁寧で美しい座り方となっているようです。
法事のときに正座をしなければならないというルールはありませんが、それぞれの状況に応じてきちんとした姿勢で座られてください。