「支え合い」を大切にしながら

2020年を終え、新たな年2021年をむかえて、いま皆様はどのようなお気持ちでいらっしゃるでしょうか。2020年という年は新型コロナウイルスの感染拡大により、現在進行形で非常に大変な中でお過ごしになったのではないかと思います。

2020年がはじまった当初、誰がこんな1年になることを想像できたでしょうか。オリンピックもあり、鹿児島においては国体もあり、非常に賑やかな1年になると思っていたのが、今はどうでしょうか。自粛、ソーシャルディスタンス、密を避ける、これまであまり耳にしたことのなかった言葉がおどり、これまでとはまったく違った生活を強いられ、外に出るときには基本的にマスクを着用、場合によっては1日中着用していることもあります。年末年始においても静かに、そしてなるべく移動しないように、といった要請もあり、違った過ごし方を求められています。

私自身の昨年1年を振り返ってみますと、コロナ禍というのももちろんあるのですが、人生で最低最悪な1年だったと思っています。いろんなものを失った1年でした。元気に振舞うことにも疲れてしまいました。2021年はこんな気持ちがすこしでもはれていくようにと強く願うばかりです。

私は職場で日常的に子どもたちと園で顔を合わしていますが、園外に子どもたちが出ていくときに私の姿をみかけるとたくさんの子どもたちが手をふってくれます。「えんちょーせんせー」と、大きな声でニコニコしながら手をふってくれます。園舎の2階にいる年長さんたちは、わざわざ窓によって、「えんちょーせんせー、こっちだよー」と手をふりながら声をかけてくれます。中にはこんなことをいう子どももいます。「えんちょーせんせー、げんきー?」

昨年は1年中元気なフリをしていた私にとって、これほど元気をもらった言葉はありませんでした。たった一言です。ほんとうにたった一言なんです。どれほどの救いになったことでしょう。どれほどの支えになったことでしょう。人はたった一言で誰かを助けることができるんです。一言ではありますが、その一言の中には、自身が込めた心や意味以上に相手を動かし、相手を支えることができるのです。

「南無阿弥陀仏」と、一声お念仏もうすこともまた、そんな気持ちを味わうことのできる尊いものだと思います。皆さん、これからもどうかたくさんのひとたちを、一言声をかけてあげるだけでいいので幸せにしてあげてください、元気をわけてあげてください。その一言でだれかが救われるかもしれません。そういった声かけを繰り返していくことが、「支え合い」ということなのではないかと思います。

2021年が皆さんにとっても、私にとっても尊い1年となることを心より願っております。「支え合い」を大切にしながら、よりよい一年にしてきましょうね。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。