「お経」とはそもそも何なのですか。

「お経」と聞くと、死者をとむらうための呪文のようなものと受け止めている方々も中にはいらっしゃることかと思います。しかし「お経」は呪文ではないのです。

「お経」は、お釈迦さまが説かれた教えのことです。お釈迦さまの死後、たくさんのお弟子さん方が集まり、自分たちが今までお釈迦さまから聞いてきた教えを持ち寄り共有しました。その作業を何度も繰り返して補充したり削除して編集し、文字として記録し伝えてきたものが「お経」なのです。まさに今、私たちがお勤めしている「お経」は、インドの古い言葉で書かれたものが中国で漢文に翻訳され伝えられているものなのです。

「経」という言葉には「たて糸」という意味があります。織物の「たて糸」が横糸を支えて美しい模様のある布を織り上げていくように、お釈迦様の説かれた言葉は、美しい真理を表しているから「経」というのです。また、「経」は「つね」とも読みます。すべての人のこころの依りどころとなる、永遠に変わらない真実が説かれているから「経」というのです。

最後になりますが、「お経」は、お弟子さん方がお釈迦さまの教えを聞いてその感動の心を記録し伝えたものであるということを忘れてはいけません。

ですからご法事でお坊さんがお勤めをされている間は、お釈迦さまの教えを聴聞しているという厳かな気持ちをもってその時間をお過ごしいただければありがたいことです。