扉を開けて

12月17日は、こども園の生活発表会でした。コロナ禍の中での開催ということで、前年に引き続き今回も3歳以上児のみの発表となりました。

3歳以上児のどのクラスも、日ごろの遊びや活動の様子を生き生きと表現していましたが、とりわけ年長児のきりっと引き締まった表情と真剣なまなざしは、4月から始まる小学校での生活も「きっと大丈夫!」と、安堵させてくれるものでした。

また、生活発表会を経て、子どもたち一人ひとりが次のステージに上がっていったことを感じます。経験を重ねるごとに、新しい世界の扉が開いていく、それが成長というものなのでしょう。

ところで、成長といえば、子どもだけのことと思いがちですが、大人であっても意欲があれば、新しい世界の扉を開くこと、つまり成長することは可能です。私たちは、生きていれば様々な経験を積み重ね、知識を増やしていきますが、だからといってこの世のすべてをしっているわけではありません。知っているのは、この広い世界のごくわずかなことだけで、「知っていること以外は知らない」のです。

「自分はそんなことぐらい知っている」と思っている人と、「自分は何も知らない」と思っている人とでは、「同じ知識を得ても受け止め方の深度が違う」と聞いたことがあります。

自分の知らないことがこの世界にはいっぱいある。自分の知っている世界・自分のいる場所だけがすべてではないと思えば、それは学びへの意欲や他者への関心につながり、新しい世界の扉を開けることにつながっていきます。そして、それは好奇心と少しの勇気があれば、たぶんいくつになっても可能なことなのではないでしょうか。

日々、扉を開け成長を続ける子どもたちの姿を師として、今年もたとえわずかではあっても、人としての成長の跡を刻んでいきたいと願っています。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。