「姓の違う人のお骨をお墓に一緒に納めたら、何か問題がありますか。」

納骨についてのお尋ねですが、まず浄土真宗の宗旨にかなうかどうかの観点からと、墓地や納骨堂には管理運営のための規則や慣習上の一般的なルールもありますので、その手続き上の原則といった、2つの観点からお応えさせていただきます。

まず、私ども浄土真宗のみ教えの観点から申しますと、姓の違う人のお骨を一緒に納めても全く問題ございません。

確かに、私たちの生前の縁には浅深や厚薄さまざまですが、そうした世俗での間柄を超えて出遇っていける「無量光明土」の世界がお浄土であります。阿弥陀経には「倶会一処」、ともに一つ処に会するとあり、また正信偈には「如衆水入海一味」、どの川の水も海に入ると同じ一つの味になるように等しく救われると、私たちはお育ていただきます。ですので、人生の歩みはそれぞれでありますし、誰一人として同じ人生はありませんが、帰すべき処は同じお浄土、みほとけに抱かれた同じいのち、と領解(りょうげ)できていく人生の歩みが開かれてくるのです。

また重ねて申しますと、そうしたお育てにあずかっていくことこそが、納骨における仏縁であるのでしょう。「〇〇家」の墓といった個別のお墓はもちろんのこと、最近増えてきている合同墓や共同の納骨壇も、それぞれかたちはありますが、「倶会一処」の場であることに違いはありません。

とはいえ、以下、2つ目の観点になりますが、納骨に際し、実際には慣習や規則といったルールがありますし、書類上の手続きが必要となります。

墓地(納骨堂)には、その使用を継いでいる使用代表者と、墓地(納骨堂)を管理する管理代表者(お寺の場合は住職・代表役員が主でしょう)がいます。埋葬・納骨の際には、使用代表者と管理代表者の承諾が必要となります。一般的には墓地(納骨堂)には使用規則がありますので、誰がどこまで入ることができるかは、その規則に従うことになります。(例えば、親族〇親等までであるとか、浄土真宗の法要儀式以外はご遠慮いただく旨などが定められています。)

また、お墓の継承については、いわゆる「墓じまい」や永代管理への移行、配偶者の先祖代々を両家合同にすることが可能かどうかなど、さまざまなケースがあります。使用代表者をはじめ関係の方々は、次の代の継承者のことを考慮に入れて判断されておられます。

したがいまして、ご質問の「姓の違う人のお骨をお墓に一緒に納めること」についても、実際には、使用代表者と管理代表者の了解のもとで行われる納骨式になります。以上のことから、何よりも、家族・親族や有縁の方が、お参りしやすい環境を整えるという意味で、関係の方や次の世代の方との語り合いが大切と考えます。

お墓のあり方について考えることは、お互いの人生が交差する「邂逅と別離」が起点となって、点から線、線から面、面からさらに多面的に見えてくる、いわば「いのちの器」を見つめていく機縁と言えるのではないでしょうか。

※墓地(納骨堂)の使用を継いでいる使用代表者(名義人)は、使用権利者、使用責任者、祭祀継承者ともいいます。