梅一輪 大千世界の 春やどす

梅の花が咲きだしました。梅の花に春の訪れを感じ、これからだんだんと過ごしやすくなっていくのだろうと嬉しくなります。

今月のことばの中に出てきました「大千世界」。なかなか聞きなれない言葉かもしれません。古代インドでは、太陽も月も星もひっくるめて、私たちが過ごす一つの世界と考えていました。今でいう太陽系のようなものでしょうか。そのような世界が千個集まったものが小千世界で、小千世界が千個集まったものが中千世界、中千世界が千個集まったものが大千世界といいます。ですから大千世界とは想像も及ばないような大きな大きな世界のことを言います。

一輪の小さな梅の花ではありますが、この花が咲くためには風雪を耐えた枝木の頑張りがありました。また地中に張った根のおかげもありました。根は目には見えませんが、地上の枝の広がりと同じくらい地中で根を広げているとも言われます。梅の木だけの頑張りだけではありません。それを支える地面、降り注いだ太陽の光、潤いを与えた雨、さらに目には見えない、言葉でも説明できない無数のご縁もあったことでしょう。

春をつげる小さな梅の花の中に、広大な大千世界の想像もできないような繋がりや支えが宿っているのです。