「はての……普請の経堂の中でする声らしい。……ちょっと見てき…
「迷える者と、迷える者とが、ここで、ゆくりなくお目にかかると…
「……お気がつかれたか」 と、その人はいう。 範宴は、自分の…
ここに参籠してから六日目の朝が白々と明けた。 二日め、三日め…
真空のような静寂(しじま)と、骨のしんまで霜になりそうな寒さ…
すると、旅人の群れのうちから、 「おお、おお」 一人の老婆が…