朝はまだ早かった。 霧に濡れている一山の峰や谷々で、寺の鐘が…
誰も、進んで、応じる者はなかった。 ――わずか十歳の童僧と、…
後ろでひしめいている学僧たちの中で、 「阿闍梨、よけいなこと…
月も末に近くなる。 範宴少納言の入壇の式は、近くなった。 そ…
短檠(たんけい)の丁字を剪(き)って、範宴が、ふたたび、机の…
2013年7月1日 雲がくると、窓の外は、海のように青かった…