手間ひまかけることを 大切に

 御正忌報恩講の法要期間中に、お参りに来られたご門徒に対して「お斎(とき)」を振る舞われるお寺はまだまだ多く残っているようですが、最近はどこのお寺でも続けていくのはなかなか難しいのが内情のようです。

その一番の理由が、お手伝いくださる方々の確保の難しさです。

 ご門徒の方と、お寺との関係が次第に希薄になっている現代では致し方のないことかもしれませんが、少し寂しい気がします。

本願寺八世蓮如上人は「夏にお参りに来られた方には冷や酒で、冬に来られた方には熱燗で…」と、心のこもったもてなしにおこころ砕かれました。

 私達の先祖の方々は、宗祖親鸞聖人のご命日をお勤めする報恩講には、その九十年のご生涯におけるさまざまなご苦労を偲びながら、手間とひまをかけてお斎を作り、それを共に食べながら、知恩報徳の思いを捧げてきました。

親から子へ、子から孫へと…。

 最近は、葬儀や年回法要のお斎も大半はお弁当屋さんに任せることが主流になっています。

忙しさを言い訳に、つい便利さに流れてしまうのですが、せめて一品でも亡くなった方のお好きであられた(精進)料理を作り、共に食べながらその恩徳を偲びたいものです。