『この世でいらない人は 一人もいない』

一般に私たちは「役に立つ」「役に立たない」ということを基準にして自分や他の人たちを評価しがちです。

そのために、自分が「世の中の役に立っている」と思える時は生き生きとしていますが、そう思えなくなると生きてゆく自信や希望さえも失くしてしまうことがあります。

 けれども、そのような評価の仕方は明らかに間違っています。

例えば、生まれて間もない赤ちゃんは世の中のことに対して、何の役に立っていないばかりか、常に周囲の人の手を煩わせ、すべてのことを委ねています。

それにもかかわらず、その存在は周りの人々の笑顔を誘い、生きる勇気を与えてくれます。

 人間にとって一番恐ろしい病気は「自分は誰にも見向きもされない。

自分みたいな者は、この世になくてもいい存在なんだ」と思ってしまうことだといわれます。

したがって、どれほど近代的な医療が発達しても「自分は自分に生まれてよかった」ということを実感することが出来なければ、この病気を克服することは難しいと思われます。

 「役に立つ」ということが人間の価値の基準ではありません。

あなたも、私も、そしてすべての人々が「大切な存在」なのであって、まさに存在そのものが尊いのです。

この世の中には「いらない人」など一人もいないのです。

仏さまの教えは、この「一人ひとりが大切な存在」であることを明らかにしてくださいます。