「聞いてこそ伝えられる」(上旬) 熟年離婚の原因

======ご講師紹介======

川村妙慶さん(ブディストアナウンサー)

☆ 演題 「聞いてこそ伝えられる」

福岡県生まれ。池坊短期大学から池坊文化学院華道研修・芸術科卒業後、大谷大学専修学院本科に進まれました。真宗大谷派の僧侶であられると同時に、華道家元池坊正教授一級、茶道家元表千家茶通箱、日本和装協会着付けの資格をお持ちです。

テレビのアナウンサーとしてご活躍され、また「心の問題」というホームページで、その問題に取り組んでおられます。

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ブディストアナウンサー 河村妙慶 さん

 アナウンサーとして学んだ「伝える」ということについて、お話したいと思います。

この伝えるということは難しいことです。

「聞く」ということが大切なのはもちろんですが、やっぱり自分の思いを伝えないとどうにもならないです。

じゃあ伝えるというのはどういうことかといいますと、それはやっぱり「言葉」なんです。

 言葉というのは「こころの遣い」という意味なんです。

技術ではないんです。

そして、アナウンサーはいわば言葉のプロですから、言葉づかいについては、人生で一番得をしています。

でも、心で思ったことがそのまま言葉になるんです。

「そんな意味で言ったんじゃないのよ」

と一生懸命に否定される方もいますが、日頃から思っている言葉がポロッと出るんです。

だから「こころの遣い」といいます。

 それから、言葉というのはキッャチボールです。

言葉というボールを、相手の胸の中にそのまま投げてやって下さい。

その中でも使ってはいけない言葉はあります。

「きつい言葉」と「イヤミな言葉」です。

きつい言葉は相手を傷つけてしまいます。

 言った方はスカッとするんですよ。

ボールでも強く投げれば、投げた方はスカッとします。

でも受け取った方はそのきつさが残ります。

ボールでも、壁にきつく投げると跳ね返ります。

それと同じように、きつい言葉を投げると、必ず相手から跳ね返ってきます。

せっかくなら、相手の胸にちゃんと届く言葉を投げてあげてほしいんです。

だから気をつけていただきたいのは、本当のことを言うと、人を傷つける場合があるということです。

正直なことを言えばいいというものでもないんですよ。

 今、熟年離婚が話題になっているのは、皆さんご存知だと思います。

弁護士の先生が言われるには、熟年離婚は言葉が原因であることが多いそうです。

言葉がきっかけで

「もうあんたとはやっていけん」

ということになって、別れる方が多いという話です。

それには代表的なものが三つあるんだそうです。

 あるとき、ご主人が仕事から帰って来ました。

奥さんは、夕食の準備が間に合わず、スーパーのお惣菜を買って、とりあえず器に盛りつけなきゃいけないと移してたんだそうです。

その現場をご主人が見ました。

そのとき、ご主人はひと言

「お前、俺が仕事から疲れて帰って来たのに、この程度の料理しか作れんのか」

と、見たままを言ったそうです。

 そしたら奥さんが、やっぱりそのきつい言葉に対して言い返す訳です。

「私だってね、今まで会合やらなんやらで忙しかったのよ。なんでそんな言葉しか言えんのよ」

とケンカになって、

「もうあんたとはやっていけん」

となるそうです。