「檀那」

 古くは「檀那」、近世より後は「旦那」と表記されることが多い。

 遠くサンスクリット語に発し、漢字で音写され、日本に渡来した仏教用語です。

もともと檀那は、「布施・施し」の意味。

仏法を広めるために、僧や施設を支えることを檀那と呼びました。

また、施しする人は、漢字で音写され

「檀越(だんおつ)」

と表記されましたが、この意味も檀那という言葉に含まれるようになりました。

 要するに檀那は、仏法のために施しをすること、その心、そのような行為の主を指す言葉でした。

この意味での檀那は

「(寺の)一檀那」

「檀那寺」

というように使われ続けて今に至ります。

ちなみに檀那寺は

「今、自らが檀那をつとめ、支えている寺」

という意味で、この檀那寺には主従の意味はありません。

この檀那が中世以後、仏教の一般化に伴って広まり、仏教に関わる場に限らず、金品を提供する人の意に用いられ、裕福な人、人を使う人と意味が拡大して敬称になりました。

近世では、男性女性の区別なく、自分の仕える主人を呼ぶ言葉として、武家でも商家でも使われました。