「危うい未来」(下旬)人間関係が冷たくなった今、何を

 こういう社会貢献の基本にあるのは、やっぱり宗教ですね。

仏教といわず、キリスト教といわず、イスラム教といわず、多くの宗教には共通のこととして、自分のことだけでなく他人のことも思いはかっていくという考え方が基本にあります。

これからは、そういう基本的なことを社会が中心になってやっていくことが、危うい未来を助ける最後の手段になるのではないかと思います。

空は暗く、雨が降りそうな今の時代ですけれど、それを打ち破るには、やはり他人を思いやるって、自分の足元を固めていくことで犯罪も減らしていくということしかありません。

 最近は殺人事件、特に家庭内の事件が多いようですが、そういう事件を起こす人は一度知覧に行って見てほしいですね。

特攻隊の人たちは、みんな自分の家族を大事にしていることがわかります。

だからちょっとあそこへ行って、あの人たちの遺書にふれてみたら、相当考え方が変わるんじゃないでしょうか。

 当時の国の政策をほめはしませんが、ああいう場所で個人の考え方を頭の中で練り直していれば、身勝手な犯罪も減っていくんじゃないかと思います。

 それから、今の世の中は周りから孤立しているのが目立ちますね。

お隣さんという意識がまったくないわけですよ。

「隣の人は何する人ぞ?」

ということですね。

私の住んでいるマンションでも、隣同士の人が同じエレベーターに乗っても、あいさつをしない人がいっぱいいるのです。

 それで、私の友だちが主宰して

「みんなであいさつをしよう会」

という会を立ち上げたんです。

私もその会に誘われまして、その一員になりました。

このように、私たちの社会は地球温暖化に反比例して、だんだんと人間関係が冷たくなっているのは間違いありません。

 この冷たくなっている人間関係をどうしたらもっと明るく出来るのでしょうか。

それはやっぱり、仏教に限らず宗教に関心を持って、ひとときでもみんなが同じ気持ちを共有して宗教的な気分に浸るということ。

 そして、一人ひとりが自分のことだけでなく、他の人を助けてあげるということが、人間の社会を温かくする一番の方法なのではないかと、私は思います。