「お寺巡りとオイルマン人生」(中旬)新しい油田が見つかったようなものだ

次は、私どもの喜入基地についてです。

日本で石油を絶やすわけにはいきませんから、喜入基地が一番に考えていることは安定操業、安全操業ということになります。

そうして、安全に運転し、地域の方々に安心していただくということで、安定、安心、安全をキーワードにやっているということです。

 実は今、喜入基地は世界の産油国から注目を集めています。

そのポイントは二つです。

一つは、先ほど申し上げた安全であるということです。

創業してかれこれ40年、累計で入ってきた船の数は今年の秋で2万隻に達します。

その間事故を起こしたことはありません。

しかも昼夜で作業をしていますが、施設を止めたことも一度もありません。

それが外国の人々にとってはある意味奇跡的に思えるらしいんですね。

そのやり方を知りたいということで、それを聞きに来るんです。

 それからもう一つがガスの解除装置です。

実はしばらく前では、私どもの会社は船から出るガスの匂いで近隣を悩ませておりました。

そこである装置を作って、抜本的に解消したのです。

それは去年の夏から動いていますが、有り難いことにそれ以降の苦情は一つもございません。

やっとのことで、近隣の方々にご迷惑をかけることがなくなったということなんです。

 実はこれ、匂いがなくなったこともさることながら、ガスそのものはエネルギーですから、それを原油に取り込むことで、年間5〜6億円の収入になるんです。

新日本石油株式会社の社長が

「新しい油田が見つかったようなものだ」

と言っていましたが、まさにそういうことなんです。

これも注目を集めています。

産油国の方でも、匂いや省エネで悩んでいるみたいですから、先々売れるんじゃないかと思っています。

 あと、官庁や企業の人もよく来られます。

こういう方々は、民間企業で画期的な装置を作ったことを評価してくれますね。

たいていそういうのは国のプロジェクトで進めるものですから、それを私たちが実現したということで、新日本石油グループの底力というのを感じてくれたみたいです。

 外国からもいろいろ来られます。

例えば中国から来られたある人の話をしますが、その方は去年、中国の温家宝首相が来日した際に同行していた方で、中国共産党の幹部であり、中国の大きな石油会社の総裁という方でした。

中国の方をお招きした時に一番考えたのは、どうやれば相手が一番喜ぶかということです。

そこで気がついたのは国旗でした。

中国の人はものすごく喜びます。

 城山観光ホテルでも、私たちの喜入基地でも、滞在中はずっと中国の国旗を飾らせてもらったんですが、その時の挨拶で

「昨日まで私は温家宝のおともで東京にいた。

そのときにもたくさんの中国の国旗を見た。

でもあれは温家宝のための旗だった。

この鹿児島でも2カ所のホテルと喜入基地で中国の国旗があった。

これは私のためのものだった。

非常にうれしい」

と言っていましたね。

やったと思いました。

それ以来、新日本石油とはとても上手く行っているということでした。

残念ながら、日本は国旗にあまり親しみを持っていないみたいです。

よその国に行くと、びっくりするくらい国旗にこだわります。

その点に関しては、日本はちょっと情けないと思いますね。