『以心伝心』

心を以て心に伝えることです。

日常会話でもよく使われますが、もともと不立文字・教外別伝と並んで、禅の宗旨をよく表現した有名な仏教語です。

お釈迦さまの教えは、経典に記されていますが、それだけで悟りの極意は伝えられるものではなく、お釈迦さまの真髄は、文字や言葉によるのではなく、心から心へじかに伝えられるということを意味している言葉です。

また、これはテレパシーと言われているものよりももっと直接的で、全身的な在り方です。

何故なら、テレパシーの場合には、心(実際には頭脳)の働きが超電波として他者の心に伝わるというように、二つの心の間に何らかの媒体を考えます。

けれども、以心伝心は、師匠が仏心を以て仏心そのものを弟子自身の中に開かせ自悟自解せしめること。

つまり、本当の安心を与えることを意味するからで、二つの心があるのではなく、仏(師匠)と仏(弟子)との一心同体を意味しています。