仏さまへのお参りの際に、まず必要な物は念珠(ねんじゅ)です。
数珠(じゅず)とも言いますが、浄土真宗では
「念珠」
という言い方が多く用いられています。
念珠には、僧侶がお衣を着けた時に用いる双輪(ふたわ)のものと、ご門徒の皆さま方も一般的に用いられる単輪(ひとわ)のものとがあります。
いずれも珠(たま)をこすり合わせてジャラジャラと音を出したり、手のひらで握りしめたりはしません。
また大切な法具ですので畳や床、椅子の上にじかに置かず、必ず適当な敷物の上に置くか、器の中に入れるようにして大事にあつかいましょう。
また、
「念珠の珠(たま)の数はいくつあるのですか?」とか、
「百八の煩悩の数と関係があるのですか?」
と、言うような質問を時々お受けしますが、材料となるその珠の大きさなどによって、自ずとその数も異なってきますので、特に一般的に用いられる単輪念珠では数に規定があるわけではなく、そこにこだわる必要はありません。
そもそも浄土真宗では念珠を、煩悩を滅するための道具として用いるのでもなく、また、読経や念仏の回数をかぞえるために使うものでもありません。
ただ阿弥陀如来さまに合掌礼拝するときの礼儀として用いています。
次に、門徒式章(もんとしきしょう)も必ずかけるように心がけましょう。
得度(とくど)をして僧侶となりますと、その証に袈裟を着けます。
得度をしていない人でも、袈裟に代わるものとして門徒式章を着用します。
門徒式章は、僧侶が法衣、袈裟で正装するのと同様に門徒の皆さま方が阿弥陀如来さまの前に出るときの正装です。
ですから、お寺でもご家庭でも、仏前にお参りされるときは必ずかけるようにしましょう。
またその取り扱いも念珠同様大切な法具ですので、大事にあつかいましょう。
最後にご紹介したいのは、お経の本です。
お持ちでない方は、お手次のお寺さんにご相談の上、一人一冊はぜひお持ちいただきたいと思います。
僧侶が使う経本とは別に、初めてご覧になられる方でも、どなたでも読めるような経本がございますので、お寺のご法座などで正しい読み方を習われ、できれば僧侶がいなくてもお勤めがご家庭のお仏壇などで出来るように、親しんで下さればと思います。
ちなみに
「お経を上げる」
ということは、他ならぬ私たち自身がお念仏のみ教えを聞き慶び、阿弥陀如来さまのお徳を讃えてそのご恩に感謝するための行為です。
ですから
「故人のための読経」
ではありません。