「快老のすすめ」(中旬)お友だちが多い

人間、年をとると、必ずいろんなことが起こってきます。

脳の細胞は減りますが、それを二年でも三年でも先へ延ばすことはできますよ。

私もそうですが、一番大事なことは、年相応の状況を認識するということです。

年相応の状況でしたら、私が眼鏡を忘れてくることは当たり前なんです。

入れ歯はちょっとひどいけど、眼鏡ぐらい忘れるのは当たり前なんです。

ところが、眼鏡を忘れたからといってくよくよしてる方がいらっしゃるけども、私はうれしくてしょうがないですよ。

また著書の材料ができますしね。

この前、家中眼鏡を捜し歩いていたことがあったんです。

そしたら家内いわく、「あら、眼鏡かけてんじゃないの」。

眼鏡かけながら眼鏡を捜し歩いているんです。

でも私はそれがうれしくてしょうがないんですよ。

私は失敗を全部手帳に書いておりまして、最近の失敗は、病院へ出勤したときに部屋のかぎを忘れてうろうろしてたことなんですが、これもしっかりと書いてますね。

シニアプラン開発機構という団体があります。

厚生省の外郭団体みたいなものですけど、私はその会長を務めております。

ここは、サラリーマンでいうと定年退職前後の方々を考えて、その方々が晩年どのように暮したらいいかということを研究する団体なんです。

そこで、私の関与した研究の中から一つ申しあげますと、

「晩年明るい生活をして、老人性のうつ病にもアルツハイマーにもならず、ボランティア活動に夢中になって、社会のために尽くしてる明るい方と、早々とアルツハイマーが始まって、朝からお酒をがぶ飲みするような、一人ぼっちで孤立している暗い方と、それぞれを分けて、その方々が現役時代にどういう生活をしてきたか」

というのを調べたんです。

もちろん例外はありますけど、わりといい結果が出たんです。

結論から言うと、四つのことが言えます。

初めの二つは当たり前のことで、まず第一にお友だちが多いということ。

二番目が前向きな姿勢ということ。

例えば会社で旅行があるときに、行きたいんだけども、「お前何かやれ」と言われるのが怖くて行けないという方、これは前向きな姿勢の反対ですね。

しかし、歌を歌うといっても下手な方がもてるんですよ。

いくら頑張ったって美空ひばりみたいにうまく歌えませんよ。

下手な方がもてるんですから。

それが怖いんですね。

つまりお友だちが多くて、前向きな姿勢の方が、晩年明るい生活をしてるんです。

そして三番目が、本業以外の趣味あるということ。

サラリーマンにアンケートを出して、「あなたの趣味は何ですか」と聞くと、「仕事でございます」と言う方が日本人に多いんですよ。

「日本人はまじめで働きバチ」とよく言われてますが、確かに仕事が趣味というのはすばらしいことですよ。

けれども、定年退職になったらあとは何もないじゃないですか。

つまり、本業以外の趣味があるという方が晩年明るいんです。

だから本業以外の趣味を、少なくとも定年の数年前までには確立していただきたいと思うんです。

趣味というと、すぐお金のかかるようなことばかり考えてしまうんですけど、何でもいいんですよ。

例えば石を拾うというのも立派な趣味ですよ。