かんにんな(中期)すべての命が等しく尊い

『御堂さん』の1月号と8月号は特集号で、私自身がいろいろな人にインタビューした記事を掲載しています。

今年の8月号は、北海道旭川市の旭山動物園の坂東元(ばんどう・げん)園長と対談しました。

旭山動物園は日本で最北にあって、今もっとも人気のある動物園ですが、いわゆる珍しい動物というのは一切いないのです。

坂東園長にお聞きしたところ「珍しい動物を入れてしまうとみんなそちらを注目する。そうしたら他の動物が色褪せてしまう」と言われました。

ここの動物園ではどんな命も尊いものなので差別をしないのです。

カラスも鷲や鷹と同じ扱いで堂々と飼育しています。

「ただのカラスじゃないですか」と園長に言うと「ただの命というのはありません」と強い口調で言われました。

仏さまはあらゆる命を平等に見ておられますが、この人もそれに近い目で動物を見ておられる。

凄いなと思いました。

そしてもう一人忘れられない人が日野原重明(ひのはら・しげあき)先生です。

今年105歳で亡くなられましたが、インタビューは10年前ですから先生が95歳の時、当時は聖路加(せいろか)病院の現役の院長でした。

聖路加病院はキリスト教系の病院で、日野原先生のお父さんもキリスト教の聖職者で、本来キリスト教徒の日野原先生が「私が一番好きなのは『恕(じょ)』仏教の『許す』という言葉です」と言われたので驚きました。

キリスト教の世界にいるはずの先生が、『恕(許す)』という仏教の心を深く理解しておられたのです。