新型コロナウイルス

今年の1月中国の武漢より発生した新型コロナウイルスの感染が世界中に広まり、多くの感染者・死亡者が増え続けています。マスクが店頭からなくなったり、大きなイベントやスポーツ大会も続々と中止が発表されたりするなど、その影響は世界経済にまでおよんでいます。

鹿児島でも、3月に開催予定の鹿児島マラソンが中止になりました。マラソンに参加予定の方々の宿泊がキャンセルになり、ホテル関係の方々も大きな影響を受けています。ホテルのキャンセルがあいついだあるホテルの方は、テレビのインタビューで「多大な損害が出ているけれども感染が広がることを防ぐ手段としてはやむを得ない判断である」と中止の判断に理解を示しながらも、「しばらく厳しい状態が続くと思うけれども今は我慢するしかない」「感染が早期におさまることを願うしかない」とおっしゃっていました。

また、個人的には密かに楽しみにしていた鹿児島ラーメン王決定戦も中止となり、がっかりしました。しかし、たくさんの方々が集まるイベントなのでこれもいたしかたないことだと受け止めることです。ただ、参加予定の出店者の皆さんは、この決定戦のためだけのオリジナルのラーメンを考え優勝を目指してこられたとのことで、直前での中止の発表に驚くとともに悔しさでいっぱいではなかったかと思うことです。せっかくなので、決定戦のために考えたオリジナルメニューを各店舗で出してもらえれば、一人のラーメンファンとして有り難いことです。

遡ること1918年から1919年にかけて大流行したスペインかぜ(全世界で大流行したインフルエンザの通称)では、世界中で5000万人の方々が亡くなられ、日本でも45万人の方々が亡くなったといわれています。その中でも、特に若い健康な人が多く亡くなっておられます。その理由は、1889年以降に生まれた人たちは、1918年に流行した種類のインフルエンザウイルスを子どもの頃に経験していなかったため、免疫を獲得していなかったからだと言われています。一方、それ以前に生まれた人々は1918年に流行したインフルエンザと似た型のウイルスを経験しており、ある程度の免疫があったといわれています。

また、100年前のことなで、今のようにSNS等の情報の発達した時代ではなかった上に、第一次世界大戦の最中であったこともあり、速やかに正確な情報が伝わらないばかりか、戦時国では情報を秘匿しようとしたことも多くの感染者・死亡者がでた理由の1つであると推測されます。

私の曾祖父は、このスペインかぜで亡くなったそうですが、近所でも亡くなられた方がおられたようです。曾祖父は家族は当然のことですが、特に跡継ぎである自分の息子(祖父)にはうつらないように細心の注意を払ったそうです。もし、祖父がその時に亡くなっていたら、今の自分はここにいないわけですから、今ここにいのちいただいていることの不思議さ・ありがたさを思うことです。

日本では、今夏に東京オリンピックが控えています。もし、このまま感染が広がる状況が長引けば、開催さえも危ぶまれることになります。できるだけ早期にこの感染が治まり、感染によって苦しむ人々がこれ以上増えないことをただただ願うばかりです。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。