門徒がお勤めするお経がありますか?

ご門徒より

「私たち門徒は、どんなお経をお勤めすればいいですか?」

という質問を受けることがあります。

まず

「お経」

というのは、基本的にはお釈迦さまが説かれた経典のことですから、浄土真宗では浄土三部経、具体的には、

『仏説無量寿経』

『仏説観無量寿経』

『仏説阿弥陀経』

を指します。

浄土真宗で、ご門徒の皆様にもっとも身近なお勤めとは何かと言えば、これは

『正信偈(しょうしんげ)』

ではないかと思われます。

『正信偈』

とは、正しくは

『正信念仏偈』

といい、宗祖親鸞聖人が著された

「教行信証」

の行巻末に記されている偈文です。

この偈には、聖人が

「経典」

のお言葉に聞き、その

「経典」

をインド・中国・日本へと伝えられた七高僧の解釈や味わいに聞き、聞き抜かれた感動が盛り込まれています。

『正信偈』

は、本願寺第8世蓮如上人の頃(15世紀)から、先祖の方々が読み親しんでこられたお経(正式には聖典)であり、浄土真宗門徒必須の勤行聖典です。

普段

『正信偈』

のお勤めは、草譜(そうふ)という節(ふし)でお勤めし、親鸞聖人のご命日等には行譜(ぎょうふ)でお勤めするのが一般的です。

このほかにも、

『浄土真宗聖典』

『門徒勤行集』

などに載っている

『仏説無量寿経』

の中の偈文である

『讃仏偈(さんぶつげ)』

『重誓偈(じゅうせいげ)』

などのお経も適宜お勤めして頂ければと思います。

ただし、お経ならなんでもいいというわけではありません。

浄土真宗は、阿弥陀如来のおはたらきによって煩悩を抱えたこの身が救われていくことを慶ばせていただく教えであり、お勤めはあくまで仏徳讃嘆のためです。

したがって、一般によく知られている

「般若心経」

は自力の修行によって悟りを得ることを前提とした経典であるため、本願念仏の教えである浄土真宗ではお勤めしていません。